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All Pleats Dress

ブランド初のファッションショーは、私の卒業コレクションでした。
テーマは " symmetry A symmetry " と題し、総勢40ルックの衣装がだんだんと壊れていく様子を表現し、

衣服が生地という「海」へ帰っていくことで、かたちのないものを直接的にコレクションとして落とし込みました。

この衣装は最後のトリを飾った衣装で、生地を一反全てプリーツ加工を行い、ノースリーブのワンピースをベースに、プリーツ加工されたパーツを積み重ねるようにつけていきました。デコルテ部分に使うパーツはアコーディオンプリーツ加工にし、さらにワイヤーを仕込むことで自由に広がりを調整できるディティールにしている。

使用した生地は天然繊維と合成繊維が混紡されたバイオタフタ生地を使用した。
プリーツは天然繊維が多ければ多いほどかかりづらくなりますが、私がこのバイオタフタ生地にこだわった理由は「表情」「物語」の2つ。

タフタ生地は紙のような触り心地で、生地をいじめながら作る日本が得意な縮絨(しゅくじゅう)生地です。

そのため、私は日本人ですから、トリの衣装にタフタ生地を使いたかったのです。

もうひとつ選んだ「物語」は、ファッション業界は環境問題の矢面に立つ存在です。

常に持続可能であることを求められます。年間何トンも廃棄され、それでも衣服は日々大量に作られます

つまり私は、新しく服を考えること、作ることに「罪悪感」を感じるのです。

しかしそれでも、「服」を通して表現したいことがあると信じて今も服作りを続けています。

生き物は生きる上で必ず何かを奪いながら生きています。​

それは否定したくても、排除したくても抗えない摂理です。

これに何か答えを提示しようとか、見つけようというわけではなく、「共存」のように

「考え続けながら」暮らす、という私の「罪悪感」と、THETHEが目指している「かたちのないもの」という

現代社会に対する姿勢をこめるため、あえて「混紡」という生地に、プリーツ加工を施して使用しました。

この衣装はとても重たいです。子供ひとり分くらい。

​世界とは、子供の存在があってこそです。

Why Cry me? SHIRT

タフタ生地を使用して製作したシャツコート。

​背面には「WHy Cry me ?」と描いた。

私は当時、セルビアから日本へ帰国中で、ドバイ空港で乗り換え待ちをしていたときです。

 

ガザ地区への侵攻が始まりました。

​映像はどこもグレーの背景に炎がゆらめいていました。

空港の中ではミサが行われ、皆が床に頭をつけながら祈りを捧げていました。

ひとつ海を越えると、当たり前のように争いが起きていて、暴力による理不尽な正義が敷かれている事実を如実に感じました。

私は9,11の年に生まれ、シングルマザーの家庭で育ちました。

WHy Cry me?はまだ覚えたての英語を使った子供の文字。

​ウエスト部分と袖口には通常よりもかなり強くゴムでシェイプさせ、ギャザーのディティールをもたしており、これは子供が硝煙の中、孤独に服を握る姿を表現しています。

GUN FLOWER PANTS

パンツのウエスト部分がアンダーバストまで伸びたデザインのパンツ。

ウエストは綺麗な円形ではなく歪な形をしており、これは暴発して銃身が裂けている様子を表現しました。
私が生まれた年は、 9.11 が発生した年でもあります。
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Wing Pocket Dress

通常、パターンメーキングにおいてダーツという要素は避けて通れません。

これはいわゆる服を立体的に見せるための技術ですが、基本に見せないように工夫をしたり、ダーツを取らないようにパーツやデザインで分量を逃したりします。ようは重要な役割ですが、あまり表に出そうと考えることはありません。

このドレスでは、そのダーツをあえて外側に出し、更に不必要な分量を加えたドレスです。

そのため肩から腰にかけてドレープのある帳が生まれ、一見ただのフォーマルなドレスに、わずかなエレガンスが宿りました。

​私がパターンメーキングにおける工夫を模索していた旅の道中で生まれました。

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Back Collar T

シンプルなロングTのバックネックラインに、シャツカラーを挟み込んだディティールのカットソー。

フロント部分にはブランドロゴを刺繍しています。

このアイテムは、毎回「難しく考えながら服を作っている」という私に向けられた言葉に対して、フラットにあまり意味や物語を込めず

​アパレル的なデザインやディティールの可愛さで制作しました。

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